「病院薬剤師は大変そうだけど、今から転職しても大丈夫かな?」
そんなことを考えたことはありませんか?
私は新卒で調剤薬局に就職し、その後、アラサー・子持ちの状態で調剤薬局から病院へ転職しました。
当時の私は、
・新卒からずっと調剤薬局だけど、一度は病院で働いてみたい
・調剤薬局の仕事が同じことの繰り返しに感じる
・医者のカルテが読みたい
・もっと薬剤師として成長したい
・でも、今さら病院に転職するなんて無理なのでは?
そんなことを考えていました。
実際に病院へ転職してみると、想像していたこととは違う部分がたくさんありました。この記事では、調剤薬局から病院へ転職した私が、実際に働いてみて「意外だった」と感じたことを7つ紹介します。
病院薬剤師への転職を考えている方の参考になれば嬉しいです。
調剤薬局から病院へ転職しようと思った理由
私は薬剤師として働くこと自体には、とてもやりがいを感じています。
薬剤師は、患者さんが安全に薬を使用できるように、薬の効果や副作用、飲み合わせなどを確認し、適切な薬物療法を支える仕事です。
調剤薬局でも、患者さんに薬を渡すだけではありません。
最近では在宅医療への関わりや、医師・看護師など他職種との連携など、薬剤師の仕事は以前よりも幅広くなっています。厚生労働省も、薬剤師の業務について調剤だけでなく、病棟薬剤業務やチーム医療、在宅医療への参加など多岐にわたる役割を示しています。
ただ、私が病院への転職を考えていた当時の職場は、いわゆる門前薬局でした。
門前薬局とは、病院やクリニックなどの近隣にあり、主にその医療機関から発行された処方箋を受けて調剤する薬局のことです。
私の職場では、病院から処方箋を受け取り、調剤して、患者さんに服薬指導をする。もちろん大切な仕事なのですが、在宅業務などはなく、1日の多くを薬局内で過ごしていました。
そして私は、その環境に少しずつ物足りなさを感じるようになりました。
さらに、職場で同僚同士の悪口を聞くことが続き、人間関係にも疲れていました。
最後には、患者さんから怒鳴られたことをきっかけに、
「このまま同じ場所で働き続けるのはやめよう」
と転職を決めました。
患者さんから怒鳴られた経緯や、それまで働いてきた調剤薬局についてはこちらの記事に詳しく書いています。

調剤薬局から病院へ転職してわかった意外なこと7選
病院薬剤師は「新卒から病院」の人ばかりではなかった
病院に転職する前、私は勝手にこんなイメージを持っていました。
「病院薬剤師って、新卒からずっと病院で働いている人が多いんじゃない?」
だから、調剤薬局しか経験していない自分が入ったら、知識不足で浮いてしまうのではないかと思っていました。
ところが、実際に病院で働いてみると、転職して病院に来た薬剤師も珍しくありませんでした。
私が働いていた職場では、新卒から病院で働いている薬剤師と、調剤薬局など他の職場を経験してから転職してきた薬剤師が、だいたい半々くらい。
もちろん病院によって違いますが、
「病院薬剤師=新卒からずっと病院」
というわけではありません。
私自身も調剤薬局での経験があったからこそ、患者さんへの服薬指導や調剤の経験を病院で活かすことができました。
「病院で働いてみたいけれど、調剤薬局しか経験がない」
という方も、最初から諦める必要はないと思います。
意外と子育てしながら働きやすかった
これは、子どもがいる私にとってかなり意外な発見でした。
調剤薬局では、店舗によっては9時から18時前後まで勤務する求人もあります。
保育園が18時までの場合、そこから移動してお迎えに行くことを考えると、勤務時間によってはパートナーや家族の協力が必要になります。
一方、私が勤務していた病院は、8時30分から17時、17時30分までという勤務時間でした。
17時までに勤務が終われば、保育園のお迎えにも間に合います。
また、病院には子育て中の医療職が多く、託児所が設けられている病院や、子育て支援制度を利用できる職場もあります。
もちろん、
「病院なら必ず子育てしやすい」
というわけではありません。
夜勤や当直がある病院もありますし、残業が多い職場もあります。
だからこそ、子育て中に病院へ転職するなら、
- 勤務時間
- 残業の有無
- 当直・夜勤の有無
- 子育て支援制度
- 急な休みに対応してもらえるか
- 実際に子育て中の薬剤師がいるか
などを確認することが大切です。
尊敬できる上司や同僚に出会えた
病院で働いて感じた大きな変化の一つが、薬剤師として日々鍛えられる環境だったことです。
医師や看護師から薬について質問されることもあります。
ときには、
「この薬については、私より看護師さんのほうが詳しいかも……」
と思うこともありました。
でも、それが刺激になりました。
カルテを読むことで、
「なぜこの患者さんに、この薬が処方されているのか」
を考えられるようになったからです。
調剤薬局では処方箋から患者さんの状態を推測していましたが、病院ではカルテや検査値、治療経過などから、より具体的に患者さんの状態を把握できます。
もちろん、病院薬剤師だから必ず知識が豊富というわけではありません。
それでも私の場合は、薬剤師としてもっと勉強したいと思える人たちに囲まれたことが、大きな刺激になりました。
薬局内にずっといる必要がなかった
調剤薬局で働いていたとき、私は薬局内にずっといることに、なんとなく閉塞感を感じていました。
もちろん、薬局内で患者さんを待つことも大切な仕事です。
でも、毎日同じ場所で同じメンバーと働いていると、
「少し外に出たいな……」
と思うこともありました。
病院では、調剤室だけではなく、
- 病棟
- 注射室
- DI業務
- カルテ記載
- 他職種とのカンファレンス
など、さまざまな場所・業務に関わる機会がありました。
病棟薬剤業務実施加算では、病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務について、1病棟あたり週20時間相当以上という基準が設けられています。これは一人の薬剤師が必ず週20時間病棟にいるという意味ではありませんが、病院薬剤師が病棟で薬剤業務を行う仕組みが制度として位置づけられています。
私自身、病棟へ行くことで薬局内とは違う人と関わることができました。
「同じ病院の中でも、働く場所が変わる」
この感覚は、私にとってかなり新鮮でした。
薬の知識だけではなく「患者さんをみる視点」が身についた
病院では、薬だけを見ていても仕事ができません。
例えば心不全の患者さんであれば、
- 薬による治療
- 心機能
- リハビリ
- 栄養
- 退院後の生活
- 家族への説明
など、さまざまな視点から患者さんを考えます。
医師、看護師、リハビリスタッフ、栄養士など、さまざまな職種がそれぞれの専門性を持って患者さんに関わっています。
その中で薬剤師として働くことで、
「薬が効くかどうか」だけではなく、「この患者さんが退院したあと、どう生活するのか」
まで考えるようになりました。
また、他職種から、
「この患者さんの痛み止め、どうしたらいい?」
「便秘の薬はどう調整したらいい?」
「この薬はどのくらいで効果が出る?」
などと相談されることもあります。
薬の作用機序や副作用だけを勉強していた頃とは違い、患者さんの生活を含めて薬を考える機会が増えました。これは病院で働いたからこそ得られた、大きな財産だったと思います。
治験を経験できた
私が勤務していた病院では、治験にも関わる機会がありました。
治験とは、医薬品などについて、人における有効性や安全性などを確認し、承認申請に必要なデータを集めるために行われる臨床試験のことです。
私が関わった治験では、患者さんに薬の使用方法を説明する機会がありました。
その経験から強く感じたのが、
「この患者さんなら大丈夫」と思い込んではいけない
ということです。
一見しっかりしていて、薬の管理も問題なさそうに見える患者さんでも、実際には飲み間違いが起こることがあります。
薬剤師として、
「説明したから大丈夫」ではなく、
「本当に正しく使用できているか」
まで考える必要があることを実感しました。
そして、その薬が実際に発売されたときには、
「自分もこの薬の開発に少し関わることができたんだ」
という嬉しさもありました。
患者さんの人生の最期に関わることで、自分の人生も考えるようになった
これは、病院で働いていて一番心に残っていることかもしれません。
調剤薬局で働いていると、患者さんの状態が悪くなったとしても、在宅医療などで継続的に関わっていなければ、その後の経過を知ることは難しいものです。
病院では、先週まで元気に話していた患者さんの状態が、急に悪化することがあります。
そして、亡くなられる患者さんもいます。
何人もの患者さんを見送る中で、辛いと感じることもありました。
でも同時に、
「私はどんな最期を迎えたいんだろう」
と、自分自身の人生について考えるようになりました。
そして、もう一つ強く感じたことがあります。
それは、
「お金があるかどうかで、将来選べる介護や生活の選択肢が変わることがある」
ということです。
病院で患者さんの人生の最終段階に関わった経験は、薬剤師としての仕事だけではなく、私自身のお金や老後について考えるきっかけにもなりました。
調剤薬局から病院へ転職して後悔したことは?
ここまで病院へ転職して良かったことを書いてきましたが、もちろん大変なこともありました。
病院薬剤師は、薬の知識だけでなく、疾患や検査値、治療方針などについて継続的に勉強する必要があります。
最初は、
「こんなことも知らないの?」
と思われないか不安でした。
実際、勉強が大変だと感じることもありました。
また、病院によっては当直や夜勤があったり、給与が調剤薬局より低い場合もあります。
そのため、
「病院薬剤師になれば必ず働きやすくなる」
とは言えません。
大切なのは、病院薬剤師という働き方そのものが自分に合っているか、そして転職先の病院が自分の希望に合っているかを確認することだと思います。
調剤薬局と病院、両方で働いた私が今思うこと
調剤薬局と病院。
両方で働いたからこそ、それぞれの良いところと大変なところを見ることができました。
調剤薬局では、患者さんと継続的に関わることの大切さを学びました。
病院では、薬剤師としての知識を深め、他職種と連携しながら患者さんをみる経験ができました。
どちらが優れているという話ではありません。
自分がどんな薬剤師として働きたいのか。
そこが一番大切なのだと思います。
もし今、
「もっと成長したい」
「違う環境を経験してみたい」
「一度、病院薬剤師を経験してみたい」
と思っているなら、病院への転職を選択肢の一つにしてみてもいいのではないでしょうか。
もちろん、転職したからといって、すべてが理想通りになるわけではありません。
それでも、実際に環境を変えてみたことでしか分からないことはあります。
私自身、アラサーで子どもがいる状態で調剤薬局から病院へ転職しました。
当時は、
「今さら病院なんて無理なのでは?」
と思っていました。
でも、振り返ってみると、あのとき一歩踏み出して本当に良かったと思っています。
病院薬剤師への転職を考えたら、まずは求人を見てみよう
病院への転職を考えたからといって、すぐに退職する必要はありません。
まずは、
「今の自分の条件で、どんな病院求人があるのか」
を知るだけでも十分です。
特に子育て中の場合は、
- 勤務時間
- 土日休みか
- 当直の有無
- 残業時間
- 給与
- 託児所の有無
- 子育て中の薬剤師がいるか
- 病棟業務にどの程度関われるか
など、自分だけでは確認しにくい部分もあります。
私自身、転職活動では薬剤師の転職サービスに相談しました。
転職エージェントを利用すると、自分で求人を探すだけでは分からない職場の情報を確認できたり、条件について相談できたりします。
私が実際に相談したアポプラス薬剤師も、転職について相談できるサービスの一つです。
転職するかどうかを決める前に、
「病院薬剤師にはどんな求人があるんだろう?」
と情報収集から始めてみるのもおすすめです。
まとめ|調剤薬局から病院へ転職してみて感じたこと
私が調剤薬局から病院へ転職して、意外だったことは次の7つです。
- 転職して病院に来た薬剤師も多かった
- 子育てしながら働きやすい環境だった
- 尊敬できる上司や同僚に出会えた
- 薬局内にずっといる必要がなかった
- 薬の知識以外にも患者さんをみる視点が身についた
- 治験を経験できた
- 患者さんの最期に関わり、自分の人生についても考えるようになった
病院薬剤師は、決して楽な仕事ではありません。
勉強が必要ですし、病院によっては忙しく、勤務条件が合わないこともあります。
それでも私にとって、病院で過ごした時間は、薬剤師としての視野を広げてくれた大切な経験でした。
調剤薬局で働いているけれど、
「いつか病院でも働いてみたい」
と思っている方へ。
私も最初は、
「今さら無理かもしれない」
と思っていました。
でも、転職してみなければ分からないこともたくさんあります。
転職するかどうかを今すぐ決めなくても大丈夫です。
まずは求人を見たり、病院見学をしたり、転職サービスに相談したりして、
「自分にもこんな働き方があるんだ」
と知ることから始めてみてください。
私にとって病院で得た知識や経験は、今でも薬剤師として働くうえでの大切な財産になっています。




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