「薬剤師を辞めたい」と感じる理由は人それぞれです。
人間関係や残業、責任の重さ、子育てとの両立などに悩み、転職や退職を考える薬剤師も少なくありません。
私自身も何度も薬剤師を辞めたいと思ったことがあります。
薬剤師になってから辞めたいと思ったことはありますか?
たくさん勉強し国家試験に合格してやっとなれた薬剤師ですが、辞めたいと思ったことがある人も少なくないのではないでしょうか?
私は自分の能力不足や職場の人間関係、同年代との給与比較などで辞めたくなったことがあります。
また子育てを経験してからは何度も辞めたいと思いました。
私の実際の体験談と「薬剤師を辞めたくなった時」の乗り越え方をお話しします
私が薬剤師を辞めたいと思った理由
終わらない薬歴と残業でプライベートの時間がなくなった
調剤薬局で正社員として働いていた頃です。昼休みが16時になることもあるような忙しい店舗でした。もちろん薬歴が終わらず、毎日仕事がたまっていきました。残業して終わらせることもありました。
また、仕事が終わってからは勉強会に参加していたため、仕事も忙しくプライベートも勉強に取られてしまい大変でした。今振り返ると、体力のある新人時代だからこそ続けられた働き方だったと思います。
管理薬剤師時代のクレーム対応に疲れた
- 理不尽なクレーム
- スタッフのフォロー
- 本部と現場の板挟み
管理薬剤師になっても、ゆっくり昼休みが取れないこともありました。またこの頃は門前の患者さんが終わるまで薬局が閉められないこともあり、繁忙期は毎日残業していました。
患者さんからのクレーム対応、スタッフの仕事の押し付け合いや、本部と現場の板挟みに悩みました。もう管理薬剤師は嫌だ、辞めたいと思っていました。
またこの頃に人生最大の後悔を経験することになりました。仲の良い友達グループから3泊4日の海外旅行に誘われました。しかし、責任感から断って仕事をしていました。
本当に後悔しています。
今でも時々思い出します。
同僚や本部に相談すれば良かったし、ダメだったら辞めてでも行けばよかったです。
実際にこのあとこの友達グループで海外に行ける機会はありませんでした。
結婚や出産や引っ越しで頻繁に会うことも出来ません。この時お金がなかったわけではないのに、責任感を理由にプライベートを我慢しすぎました。皆さんには責任ある立場でも、しっかり休みを取って欲しいと思っています。
当時は仕事を優先するのが正しいと思っていました。
しかし今振り返ると、仕事は代わりがいても、その時の友人との旅行は二度と戻ってきません。
この経験から、仕事のために人生を犠牲にしすぎてはいけないと考えるようになりました。
子どもの体調不良で休むたびに申し訳なくなった
子育てするようになってからは残業することも難しくなり、仕事に全力投入出来なくなりました。むしろ出勤するだけで精一杯という状態が続き、働き続けるだけで疲労がたまっていきました。また、よりによってこんな時にって時に子供が風邪を引いたり、突然の嘔吐下痢になり、出勤すらできず申し訳ない気持ちや後ろめたい気持ちになりました。
子育てと仕事の両立に悩む薬剤師の方は、働き方そのものを見直すことで負担が軽くなることもあります。
→「薬剤師の働き方5選」の記事はこちら

専門職だからこそ休みにくかった
薬剤師は常に人手不足のため、1人休むと他の人にかかる負担は痛いほどわかりました。そのため休みづらく、泣く子供を病児保育に預けて無理して出勤し、
「何のために働いているのだろう」
と思ったこともありました。子育てしながら働き続けることが難しいと思うようになりました。
勉強についていけず自信を失った
薬剤師なので勤務時間外に勉強しないとスキルアップできません。ですが、その時間を確保することも難しく、勉強は後回しになっていました。周りの薬剤師が優秀に見え、自分だけが成長できていないように感じることもありました。そのため、成長していない自分にガッカリし、もう薬剤師なんて辞めた方がいいのではないかと思いました。
このように真面目な薬剤師ほど、自分を追い込みすぎてしまうことがあります。
→「真面目な薬剤師ほど苦しくなる理由」の記事はこちら

薬剤師に向いていないのではないかと思った
私はミスをした時や患者さんへの説明がうまくできなかった時に、
「薬剤師に向いていないのではないか」
と考えることがありました。
そして正直に言うと、今でも自信をなくした時にはそう思ってしまうことがあります。
例えばですが、スーパーのレジで計算を間違えた時に、
「自分はレジに向いていない人間だ」
とまで考える人は少ないのではないでしょうか。
しかし薬剤師は違います。
薬剤師になるためには受験をして、薬学部で6年間学び、実習を経験し、国家試験に合格しなければなりません。多くの薬剤師にとって、「薬剤師であること」は単なる仕事ではありません。
6年間勉強し、国家試験に合格してようやく手に入れた資格です。
その資格は、気付かないうちに自分自身の一部になっているのだと思います。
薬剤師になるために費やした時間や努力が大きいからこそ、仕事でつまずくと「仕事の失敗」ではなく「自分自身の失敗」のように感じてしまうのだと思います。
そして、
「薬剤師として失格かもしれない」
「自分は向いていないのかもしれない」
と考えてしまうのです。
当時の私は能力不足だと思っていました。
しかし今は、
「向いていない」のではなく、
「疲れている」
「余裕がなくなっている」
「自分を責めすぎている」
だけかもしれないと思うようになりました。
人間関係に疲れた
- ヒステリーな同僚
- フォローに回らざるを得ない同僚がいる環境
- 業務量や評価の不公平感を感じることがあった
人間関係には悩まされることが多かったです。ヒステリックな人と働いている時には、その日のご機嫌を確認しながら働くようになり、精神的に疲弊していきました。
また新人よりも中堅になっても1人前に働けない同僚がいると、ミスを心配したり、報告連絡が本当に出来ているのか不安になって常に気にかけていました。また、そのような同僚でも給料は同程度もらえるため、不公平感を感じることがありました。
病院薬剤師になって感じた現実
4週8休の働き方が想像以上にきつかった
私が働いていた病院では平日と月2回土曜日に半日働く必要がありました。週6日勤務は独身の時でもキツかったのですが、子育てするようになるとより疲れが取れにくくなりました。また、週6日子供を保育園に預けると風邪をひきやすくなるため、夫婦で協力して土曜日休ませると疲れをとる暇もないという状態でした。
有給や看護休暇が消えていった
子供の行事や体調不良で有給や看護休暇はどんどん減っていき、精神的に余裕がない状態になっていきました。仕事を辞めたいともっとも強く思っていた時でした。
在宅勤務できる仕事が羨ましかった
一般職の友人がコロナの影響で在宅勤務になっているのを見て、とても羨ましかったです。あんなに勉強して取った薬剤師資格を邪魔に感じることさえありました。
「資格がなければ在宅勤務の仕事に転職していたかも」
と思いました。
コロナ禍の子育てとの両立が大変だった
コロナ禍で子供のお預かりの制限が厳しくなったり、病児保育ではコロナだと預かってもらえない状況が続き、このままでは仕事と両立できないと追い詰められていきました。
それでも薬剤師を続けて良かったと思うこと
コロナ禍でも仕事がなくならなかった
私はコロナ禍で大変な思いはしましたが、仕事がなくなることはありませんでした。飲食業や観光業の方々は本当に大変だったと思います。不況に強い医療職のありがたみを感じました。
資格職の安心感があった
薬剤師を辞めたいと思えることも、実は資格があるからです。資格があれば復帰することは出来ます。薬剤師の資格があれば常に「辞められる」という選択肢を持っていることになります。これはとても恵まれていることだと気付き、改めて資格職のありがたみを感じました。
患者さんから感謝された経験
大変な思いをして病気の治療を頑張る患者さん達には、逆に励まされることがたくさんありました。服薬を続けることが大変な治療でさえ、
「薬があるだけありがたい。いつもありがとう」
と感謝してもらえる。
医療職として働いてきて良かった、これからも頑張ろうと思えた瞬間はたくさんありました。
薬剤師を辞めたいと思うのは珍しいことではない
SNSや掲示板を見ても「薬剤師を辞めたい」という声は少なくありません。
真面目な人ほど責任感から自分を追い込みやすい職業だと感じています。
また、薬学部が6年制になったことで学費や奨学金返済の負担を抱える人も増えました。
責任や求められる知識量に対して、負担が大きいと感じる人もいるのではないでしょうか。
私自身も薬学部時代の奨学金返済がありました。
「高収入と言われる薬剤師になったのに、思ったほど生活に余裕がない」
と感じたこともあります。
責任は重く、勉強も続けなければならない。それなのに同年代の会社員と比べて劇的に収入が高いわけではない現実に、モヤモヤしたこともありました。
私は長い間、
「薬剤師を辞めたいと思うのは、自分に向いていないからではないか」
と考えていました。
ミスをした時。
勉強についていけないと感じた時。
子育てとの両立がうまくできなかった時。
そのたびに、自分の能力や適性を疑っていました。
しかし今は、向いていなかったのではなく、ただ余裕がなくなっていただけの時もあったのではないかと思っています。
私が薬剤師を辞めたい気持ちを乗り越えた方法
フリーランス薬剤師になった
私は、時間が欲しかったのでフリーランス薬剤師になりました。フリーランス薬剤師は調剤薬局と業務委託契約して、薬局で働く個人事業主です。時給が高いため、働く時間を減らすことが出来ました。
家計管理をした
働くことは嫌いではありませんでしたが、若い頃と同じように週40時間働くのは難しくなりました。無理して働くよりも家計管理をして収入が少なくなっても家が回るように整えました。
私は家計簿アプリの「Zaim」を活用して支出を把握しました。
「本当に今の収入が必要なのか」
「あと月いくらあれば生活できるのか」
などを明確にしたことで、働き方を見直すことができました。
働く日数を減らした
働く時間や日数を減らし無理なく家計が回る状態にすることで、仕事も家庭も少しずつ余裕が生まれ、「薬剤師を辞めたい」と思うことは少なくなりました。
薬剤師を辞めたいと思ったら考えてほしいこと
薬剤師を辞めたいと思ったことは私にもたくさんありました。
それは仕事の負担や知識の無さだったり、子育てとのバランスが原因で辞めたいと思ったこともあります。キャリアアップを一時的には諦めないといけなくなり、憤りを感じ辞めたいと思ったこともあります。
しかし、薬剤師という資格があるからこそ、辞めても元に戻れる可能性があったり、一時的にキャリアを諦めたとしてもまた目指すことも出来ます。
薬剤師を辞める前に
- 職場を変える
- 雇用形態を変える
- 勤務日数を変える
- 転職する
などの方法もあります。
私自身、働き方を変えることで薬剤師を続けられるようになりました。
働き方の選択肢については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
→「薬剤師の働き方5選」

まとめ
薬剤師を辞めたいと思うことはよくあることだと思います。
終わらない薬歴や残業、責任感、人間関係、子育てとの両立など、薬剤師として働いていると苦しくなる瞬間は誰にでもあると思います。
しかし今振り返ると、辞めたかったのは薬剤師そのものではなく、「その時の働き方」だったのかもしれません。
職場を変える、勤務日数を減らす、雇用形態を変えるなど、薬剤師にはさまざまな選択肢があります。
もし今、薬剤師を辞めたいほど苦しいと感じているなら、自分を責める前に一度立ち止まってみてください。
辞めたい原因は、あなた自身ではなく働き方や環境にあるのかもしれません。
もし今、「薬剤師を辞めたい」と検索しながらこの記事を読んでいるなら、まずはここまで頑張ってきた自分を少しだけ認めてあげてください。
薬剤師を辞めたいと思うほど悩んできたのは、それだけ真剣に仕事と向き合ってきた証拠なのかもしれません。
私自身、この文章を書きながら過去の自分を少しだけ許せた気がしました。
薬剤師には思っている以上にたくさんの働き方があります。
今いる場所だけが全てではありません。









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