薬剤師を目指す理由ってどんなことを思い浮かべますか?病気で苦しむ人の力になりたい、薬の研究がしたいなどを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
私が薬剤師になった1番の理由は「自分で自分を助けるため」でした。人助けだけではなかった、私が薬剤師を目指した理由について書いていきます。
同じように進路に悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。
薬剤師を目指したのは「経済的に自立したい」という気持ちがあったから
将来への不安が強かった
恵まれた環境で育ってきた私でしたが、中学生の頃母親の病気で家庭環境が一変しました。高校生の頃に両親が離婚し、母は家を出て一人で暮らすことになりました。子供ながらに母親はどうなるんだろうと心配でしたが、私自身も勉強しながら家事をすることになり慣れることに必死でした。女性が一人で生活していくことの大変さを、子どもながらに感じました。
女性でも働き続けやすい資格だと思った
友達のお母さんが薬剤師でした。私の母は専業主婦だったので、お母さんが外で働いていることにとても驚きました。この経験から薬剤師は子育てしながらでも働ける仕事なんだと知りました。
「手に職」が欲しかった
資格を取りなさいと小さい頃から言われてきました。看護師になりなさいと言われていましたが、注射するのが無理で諦めました。周りに薬剤師を目指す子が多かったこともあり、自分の進路の選択肢として現実味を帯びていきました。
母の精神疾患が、医療職を意識するきっかけになった
家族が病気になることは他人事ではなかった
健康で大きな病気なく育った私にとって初めて身近で経験した大きな病気でした。しかも精神疾患だったため、病気を理解するのがとても難しかったです。今でこそ色々な情報や本がありますが、当時の私は、病気を理解することも、母に何をしてあげればいいのかもわかりませんでした。優しい言葉をかけてあげたいけど、家がどんどん荒れていくのはとても辛かったです。
薬が生活を支えていることを身近で感じた
母は精神疾患の治療のために、色々な種類の薬を飲んでいました。
正直に言うと、私は「薬で病気や日常生活が良くなる」という感覚を持てたわけではありません。
薬が合わないこともあり、薬に対し嫌な感情を持つこともありました。入院中は鎮静の影響なのか、見ていてつらい状態になることもありました。
だから私は今でも、「薬があればすべて解決する」とは思っていません。
できるなら、薬に頼らずに生活できる方がいいとも感じています。
それでも、症状が強い時期に、薬によって眠れるようになったり、日常生活を送れる瞬間があったのも事実でした。
完璧ではなくても、それでも病気の人やその家族の生活を支えるために必要なものとして、薬や医療の存在を意識するようになったと思います。
医療職への安心感があった
「資格があれば、生活に困りにくいかもしれない」という安心感があり、薬剤師を目指しました。理想だけではなく、「自分の人生を守れる仕事かどうか」も当時の私にとっては大切でした。
友達のお母さんが薬剤師だったことも大きかった
身近に働く女性のモデルがいた
私の母は専業主婦だったので、子育てしながら働く友達のママに衝撃を受けました。
「薬剤師」という仕事を具体的にイメージできた
当時医薬分業がすすみ、調剤薬局が出来始めた時期でした。「薬剤師って、こういう場所で働くんだ」と初めて具体的にイメージできました。
子育てしながら働く姿が印象に残っていた
子育てしながらでも、働ける仕事として薬剤師が印象に残りました。
理系科目が得意だったことも進路選択に影響した
文系より理系の方が自然だった
算数や化学が得意だったため、高校2年生になるときには文系のクラスではなく理系のクラスを選びました。
化学や生物に苦手意識が少なかった
化学は得意でしたし、生物の遺伝の仕組みを学んだときにとても面白かった記憶があります。文系の友達にその話をすると、血液型がどうなっていくかも結局わかっていなかったりして、自分は得意な方だったのかと後からわかったりしました。
得意を活かせる仕事を考えた
不器用で、料理人さんなどはとても無理そうでした。英語も好きでしたが人に教えることは苦手でした。
「人を助けたい」だけでは薬剤師になれなかったと思う
理想だけでは進路は決められなかった
私は人を助けたいより、自分自身を助けたい気持ちの方が強かったです。母の病気や両親の離婚を経験して、私はずっと無力感を抱えていました。
誰かに助けてほしいと思っていたけれど、最終的には「自分で自分を支えられる力」が必要なのだと感じるようになりました。
現実的な理由があってもいいと思っている
薬剤師になる人は、自分が病気だった、親からの薬局を引き継ぎ地域に貢献したい、病気を治療する手助けをしたいなど明確な目標を持っているひとが多いです。そんな中で私は誰かのためではなく自分の自立のために進路を選んだことに以前は引け目を感じることもありました。
でも今は、現実的な理由で選んだ仕事でも、人の役に立つことはできると思っています。
今振り返ると、複数の理由が重なっていた
そもそも数学や化学が得意ではなく文系だったら薬剤師にはなっていないし、親が資格取得を応援してくれなければ高い学費を払ってまで薬学部には行かせてもらえなかったと思います。
薬剤師になってよかったと思うこと
経済的に助けられた場面
私には今3人の子供がいます。子供の頃に見た働く薬剤師のママになれました。
完璧ではないけれど、あの時の自分の選択は間違っていなかったと思っています。
もちろん子育てしながら働くのは簡単ではありません。
そんな中でも薬剤師の資格があれば時給2000円前後で働くことはできます。これは経済的にもかなり助かっています。
働き方を変えやすかったこと
子育てしながら働き方をたくさん変えてきました。調剤薬局のパートから病院薬剤師の正社員と時短勤務、フリーランスになり調剤薬局と業務委託契約、病院薬剤師のパート勤務。
転職するのは大変でしたが、資格があるので不可能ではありませんでした。
子育てとの両立で感じた資格職の強み
たとえば仕事自体には不満がなくても、子供の習い事などの家庭の事情で働き方を変えたいとき、変えることが出来ます。これは医療職全般に言えることです。
それでも「薬剤師になってよかったのか」と悩むことはある
仕事の大変さ
国家資格を取ったあとも勉強は続きます。
知らないことを質問されたり、新しい薬が出るのはしょっちゅうで力不足・知識不足を感じることは多いです。
人間関係や責任の重さ
医療職は閉鎖的な環境になることもあり、人間関係の難しさを感じることがあります。
また常に医療事故と隣り合わせです。どんなに疲れていても言い訳にはなりません。ミスをして落ちこむこと、怒られることがあると続けられるかと悩みます。
理想と現実のギャップ
人助けと言っても薬剤師は自分で処方箋を書けるわけではないので、医師の指示に従わないといけません。
医療上問題がなくてもちょっと違う気がする、こっちの選択肢の方がよかったのになんて思ってしまうこともあります。
進路に迷っている人へ伝えたいこと
進路は一つの理由だけで決めなくていい
病院薬剤師の人は特に患者さんのためにの一言で精神論で長時間勤務を片付けようとしますが、私は違います。ケアをする医療者側が元気でないと患者さんと共倒れになりかねません。
「現実的な理由」も悪いことではない
日本人がどんどん貧困になっていく中、医療職も例外ではありません。
薬剤師だって昔ほど高所得ではない。
でも貧困になるリスクはとても低いと思います。
あとから意味づけされることもある
薬剤師になる理由は、人それぞれです。
「人を助けたい」という立派な理由じゃなくてもいいと思っています。
お薬のシロップが好きだった。
アニメの 『薬屋のひとりごと』が好きだった。
白衣に憧れた。
安定した仕事に就きたかった。
そんな理由でも、実際に働く中であとから意味が生まれてくることもあります。
だから、今進路に迷っている人にも、「現実的な理由」で選ぶことを否定しなくていいと伝えたいです。
進路は、「立派な理由」がないと選んではいけないわけではありません。
自分の人生を守りたいという気持ちも、進路を選ぶ大切な理由の一つだったと、今の私は思っています。

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